Final STORE LIVE!(1)

Finalが開設されてるYoutubeチャンネルで、基本的には毎週火曜日20時スタートのライブ配信です。ArchiveからD8000の回を視聴した後、以前にブログで立てたD8000の記事を読み返すと、色々と不足している点に気付きました。それを補填するのが今回の投稿となります。

yuki3.hatenablog.jp

Final STORE LIVEのD8000回は2週に分かれて配信されました。まず前半から。


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平面駆動型・静電型・ダイナミック型の特徴や、AFDSの構造・発案経緯は以前から私は知っていたことなので今回の記事では省略して、終盤の方で音質について語られている部分を私なりに展開してみようと思います。

 

ハウジングとイヤパッド空間内の容積を大きく確保すれば、縦と横方向の音場空間は広くなりますが、それだけでは「平面的な音場展開」に留まります。「depth」=立体感を出すには、同時に鳴っている小さい音から大きい音それぞれの距離感を正確に描写する必要があり、これを達成するといわゆる「ユニットから音が離れて空中を漂う」という領域に入ります。スピーカーオーディオを高いレベルで取り組まれている方はすぐに理解できる感覚と思います。私は普段家で聴くのはヘッドホンですけど、TIAS等のイベント等でそれなりの数のスピーカーを聴いて回った経験はあります。あんな大仕掛けの部屋中に漂う音なんてのは望めないにしても、せめて「ヘッドホンのユニットに音がへばりついている」状態ではお話にならないわけです。D8000登場以前のヘッドホンでも、ある程度の立体感は達成できているヘッドホンはありましたが、それらは一般的なHPAを繋いだレベルではまだまだ弱い。OJISPECIALやマス工房の弩級アンプを持ってくると、少しD8000に近いレベルにはなるんですけど・・・

D8000は普及価格帯のHPAに繋いでもその時点で音がユニットから離れてきちんと空間に出てきてくれるので、これは一段階違う領域に入ったなと思ったものでした。イヤパッドの容積が一番広いヘッドホンはHiFiMAN HE1000シリーズ(SEは未聴)と私は位置づけていて、これは確かに音場空間それ自体はD8000より広いですけど、良質な「depth」を感じるまでには至らず。容積を広く取ると、その分だけ中央の厚み、音の濃さを維持するのが難しい面も出てきます。音色は旧来の平面駆動型によくある暗い印象がなくて、明るく華やかで個人的には好きな方でした。

D8000が基本性能としての限界の壁を一段階破ったことは確かだと思います。すると「上流を反映できる頭打ちのレベル」が引き上げられたので、現代のトレンドである「空間表現」に主軸を置いたハイエンドDACをシステムに導入しても、その性能を反映できるという予感はしています。HD800を使っていた頃に、ヘッドホン祭で最上階のハイエンドなブースで色々聴いてみると、「とても良いんだけど、ヘッドホンがシステムに追従しきれていない」と感じることが多かったのです。あの時代は15万円付近でもそれなりの選択肢があったし、まぁヘッドホンと同じ値段ぐらいのもので揃えておくか、ぐらいの落し所で済ませられたとも言えますが。スピーカーオーディオのハイエンドクラスとはこれまで線引きをして考えられていたものが、D8000の登場によってその垣根を取り払える可能性が出てきた、完全に同じ土俵には立てないにしてもその背中は捉えられる目星が付けられた、というステージには到達できたのではないでしょうか。

 

STORE LIVEのD8000後半回は次回記事に分けます。

これ祭で32万で買っちゃって良かったのか?ってレベルでFinalって拘りようが狂ってます(