「ヘッドホンパワーアンプ」というカテゴリー

秋のヘッドフォン2023

www.fujiya-avic.co.jp

今年の春は行ってないので1年振りの参加です。今回の試聴はタイトルの通り

「ヘッドホンパワーアンプ」に注目してみました。

荷物の軽量化で今回はNikonのフルサイズを諦めてスマホ撮り。

試作プリアンプ→DVAS MODEL2

試聴機にD8000が用意されていましたが、自前のD8000ProにLunaケーブルを差し替えて聴きました。私のNocturneは6.3mmで完全バランス仕様のDVASでは接続出来ませんので・・・

5個の電源トランスが入っていて、とにかく電源への物量投入に意気込みを感じられます。音場が広くて、なおかつ駆動力が高い。この項目では今まで聴いた中でトップクラスに良いと感じます。無帰還を売りにしていて、鮮度の良い闊達で弾けるようなサウンド。クラシックよりもジャズの方が合いそうな雰囲気。

OJI SPECIAL
コンプリートバランスドアッテネータ→ヘッドホンパワーアンプ

送り出しはDENONのCDプレイヤーから試聴しました。この「アッテネータ」はゲインを持たないので、シングルエンドケーブルで接続した際にvolumeを2時くらいまで回していました(小編成室内楽)。バランスの+6dbだと12時くらい?

これは市販のプリアンプを通した際にゲインが過剰にならないように配慮した設計らしく、アッテネータも販売はするけれど多様なユーザー環境に対応出来ることを目指した製品のようです。ゲインのLow・Highに、アッテネータの-6dbスイッチも備えているのでプリ側の出力に応じて調整することが可能となっています。

音は過去に試聴したOJIアンプの「近くて音場が全面的に濃い」印象はやや大人しくなっています。味を付ける前のプレーンな状態を用意したので後は各自プリで料理して下さいってことでしょうか?

ause-audio.com

今回の祭で「ヘッドホンパワーアンプ」のカテゴリーでは3社が出展されていて、写真を撮り忘れましたが逢瀬でも聴いてきました。主宰側の意図としては「ヘッドホンパワーアンプ」よりもDAC2機種の比較で感想を貰いたかった気配を感じましたが、すみません片方しか聴いてませんでした・・・(しかもどちらを聴いたのか確実には断言できない適当っぷりで申し訳ない)それでも4年振りにお会い出来て、お元気そうで良かったです。

音質はトランスアッテネータが6db刻みで適正音量にちょうど当たらなかったのが実用的な面で厳しい印象です。ヘッドホンパワーアンプについてはDVAS比で音場の広さや駆動力に物足りなさを感じます。ただしDACの音楽性は突出していました(おそらくMarlin)。

既存のスピーカーシステムに追加する形として自然な「ヘッドホンパワーアンプ

これまでスピーカーシステムを熱心に取り組まれていた方の一部で、ヘッドホンに興味を持つようになる流れが増えてきた印象があります。「ボリュームレスヘッドホンアンプ」と「コントロールアンプ」に筐体をセパレートすることは、私は従来の感覚ではあまり馴染みがない(MSBシステムの登場で認識は多少変わったにせよ)。しかしスピーカーオーディオの世界では前段のプリアンプでvolumeを絞りパワーアンプで増幅するのは良く見る当たり前の構成なので、「ヘッドホンのパワーアンプ」と捉えればむしろボリューム非搭載が自然な景観として収まるのでしょう。VOLを2回通すことは音質への悪影響にも繋がります。

スピーカーオーディオと併用しないヘッドホン専用ユーザーが、無理してセパレートする必要はあるのか?

この点については若干の疑問があります。スピーカーオーディオでコントロールアンプの分岐系統に「ヘッドホンパワーアンプ」を追加すると切替が便利なのは確かです。近年注目されているカテゴリーではありますが、ここにはいくつかの問題が見過ごされているように思います。

ヘッドホンの感度やインピーダンスは製品ごとに多様な設計がなされているので、それに対するマッチングがきちんと取れるのかという問題がまずひとつ。低感度よりも高感度に属するヘッドホンの方が問題を露呈しやすいでしょう。

これに付随して、プリで絞った出力をケーブルを介してパワーアンプに送る過程でノイズが伝搬し聴感S/Nの劣化を感じるケースがあると思われます。そもそもヘッドホンはスピーカーより小出力でドライブするのだからノイズにも敏感で、両者を全く同じように扱うのは少々無理があるのでは・・・。

80db台の低感度ヘッドホンをパワフルに鳴らしたい場合、市販のヘッドホンアンプの馬力では物足りないと感じる方は、高電圧でドライブ出来てノイズの悪影響もある程度抑え込める「プリ+パワー」のメリットが勝ることもあるでしょう。