前回の訪問記事は👇
前回の構成からいくつか変更点はありますが、やはり重要なのはFOCAL UTOPIA SGを導入されたことです。次点でWAGNUSの6300Fインコネですね。私もNOCTURNEにリケーブルはしていますがSGであることは同じなので、お互いの出口が共通となりました。
これによって出音の大きな要素である「ヘッドホンの個性」が捨象されたことにより、普段自分が家で聴いている音との差異が明確となります。よって前回の訪問記事ではFLUX MENTORヘッドホンアンプに着目した内容となりましたが、今回の内容は更にシステム全体に踏み込んだものとなります。
UTOPIA SGの環境追従性と高い描写力、ヘッドホンとしての帯域バランスに目立った障害となる癖がないことが合わさって、容易に双方の差異が認識出来ます。
家に帰って翌日同じ曲で確認してみると、やはりュカシ夛さんシステムの完成度の高さが良く分かります。多くの項目で過不足なく纏まっていて、音色や質感もニュートラルで偏りのない音です。そして最も重要なのが、「凄い音を出してやろう」というような肩肘張った欲を感じないということ。
私なりの解釈では、価値観の根底としてASR的な測定至上主義も、また現代ハイエンドオーディオ的な「さりげない脚色美」のどちらも拒否した上で、本来の意味での自然さを希求するというスタンスを貫いているように感じます。よってこの方向性を探求すると「何らかの要素で100点を目指す」ことにはならないのでしょう。オーディオとは特定の部分で究極を求めようとすると、何かしら副作用が発生してその点のネガが目立つようになってしまうことが大半です。
私のシステムの音や価値観との根本的な違いはここにあります。私は自分の求める要素を、まず最大限に確保しようと考えるのです。ここを取りに行ったことで逆に溢した要素、目立ったネガについては致し方ないと割り切るのが基本的なスタンスとなります。
お互いのシステム構成の価格帯レンジがそれほど乖離していないこともあって、部分的には「もしかしたら私の音の方が良いかも・・・?」という項目もいくつか感じられましたが、やはり総合的には自分のシステムの出音の方にネガが目立つことを再確認した次第です。しかしこれらの弱点は、普段聴く際に自分の中では重要な問題点とはなっていません。つまり私の場合は核となる要素を伸ばして、致命的とはならない部分にネガを集めるという方法論を採っています。
現在の私のシステムで弱点となっている点を挙げてみます。
- 空間の左右が狭い
- 駆動力が弱い
- 音像が細身で安定感に欠ける
- 色が明るい方向に偏る(陰りのある表現が出来ない)
ただし、私は空間の広さと駆動力に関しては、あまり重視していません。そして色の偏りに関しては、CHORDとPASSで得られる世界観が魅力的であるが故に、反対方向の表現については潔く諦めることにしています。
次に僭越ながら「家の音の方が良いかも・・・?」と感じた部分です。
- マイクロダイナミクス方面(音像の細かい部分が良く解れる感じ)
- 奥行の情報量とSN
一般的な意味でのレンジの広さはFLUX MENTORの方が圧倒的に上なのですが、より細かい領域での機微や表現力はPASSの得意とする領域です。私は小編成室内楽を好みますから、小音量から大音量までの体感的な振幅の広さは必要としておらず、むしろ一定の範囲内の音圧の中での微妙なタッチの描き分けであったり、音楽的な流れの良さの方が重要です。
満遍なくほとんどの要素を高い次元で成立させているュカシ夛さんシステムを聴いてもなお、部分的には自分のシステムの方が良いかも?と感じられたのは大きな収穫です。しかも、それが私の目指していた方向性ときちんと一致していたわけで。
ネガ要素との落差は激しいですが🤣
機器の各種設定値の変更でも、お互いの嗜好の違いが明確に分かれました。
① FLUX MENTORのゲイン設定
ュカシ夛さんはLOWで運用されています。UTOPIA SGの感度からして、この設定が普通でしょう。しかし私はMIDの方が音触は好ましく感じました。正直にそれを伝えると「でしょうね」という反応が。色々と見透かされている。。。😮
LOWの方がユニットをしっかり駆動出来ているのは確かなのですが、私の基準からするとやや乾いた音という印象で、MIDだとしっとり感が乗ってきて良い塩梅になるという変化です。情報量や駆動力はやや落ちます。それでも音の質感が肌に合っていることが第一な私は、この状況で普段のリスニングでどちらを選ぶかと問われれば迷わずMIDです。
② PCモニターのリフレッシュレート設定
これは当事者間でないと何を言ってるか分からないと思いますが、本当に音が変わります。
60Hzでは質感の良さが際立ちますが、他の要素は144Hzの方がバランスは取れているという関係性です。ここで選択はまた分かれて私は60Hz推しで、ュカシ夛さんは現状144Hz運用のようです。間に120Hzもあるんですがこれは双方違和感があるという認識です。
「~第二回オフ会を終えて~ 編集後記」
家に人を招きにくい状況にはありますが、2~3時間でも何とか都合を付けて、ュカシ夛さんに私が普段聴いている音をそのまま体験して頂けたらいいなと思うようになりました。
これまでの2回の企画では、まだ完全な交流の意義の半分しか達成できていません。私も他者視点からのフィードバックを受けたいし、また同時に私の方からも何かしらの刺激となるものを提供することが出来たらと思っています。
完成度そのものは低いんですけど😓 自分なりに手応えなり光る要素があるとは思っているので。
最近は仮想アースを「減らす」方向にシフトしたり、また色々試しています。中途半端にネガを補強しようとしても、結局上手く行かないなと感じる今日この頃です。まぁ、その辺の話題はまた後日に。
「人に聴いてもらうこともあるかもしれない」と思うだけで、何だか取り組む意識が引き締まるものですね。