The Composer ヘッドホンが先に登場したので、アナログアンプ Full Score One のリリースを待ち望んでいた方も多いと思います。試聴した感触では、私の好みの方向性ではないが、しっかりとした実力を感じさせる完成度だったので記事化しておきます。上流は写真の通りFiiO R9のDACモードです。
他社アンプでの試聴となったThe Composer の初めての出会いでは、その良さがいまいち分からなかった私ではありますが、今回 Full Score One と組み合わせて聴いて「このメーカーが目指している方向性」というのがちゃんと理解出来るようになりました。
Pros
- 輪郭は太筆書きだが収束が速いので、クッキリしていて野暮ったさを感じない
- 湿度が低くカラッとさっぱりしていて、音場にまとわりつく付帯音がない
- 低域の量を欲張らずに、なおかつ安定感のある音を両立している
- 必要十分な解像度、分離、密度のバランスが取れている
- 上記により音楽の構造が把握しやすい(細部に傾き過ぎない匙加減)
Cons (Pros側から反転させた短所として捉えて頂けると幸いです)
- 生楽器の質感や演奏のニュアンス、場の気配が消えている
- 余韻が切れるのが速い
- しっとり濡れた感じが出ない
- 常に安定した音は出るが冒険心を掻き立てられる感じがしない
- 高域表現は価格を考えるともう少し丁寧さが欲しい
-総評-
クラシックにはあまり興味がなくて、アニソンやPOPSを爽快かつ総合的に高い水準で安定して聴きたい方には推薦したいセットです。DACの情報量にもある程度追従するとは思いますが、ハイエンド的な脚色美の世界観を取り入れようとしてもあまり反映してくれない、もしくは中途半端なことになる気配がします。ここはキツさが出ない程度に基礎性能重視の選択で良さそうです。
ということで私の好みとは全く逆の方向に行ってますが、フラットな目線で見れば目指す方向性と着地点にしっかり落とし込んでいる実力の高さが伺えるので、そこは素直に感心してます。