Enigma Accoustics Athena A1 ~Impression~

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このHPAについて、国内で音質を詳しく書かれた方はおそらくいないと思います。

まず、入力段で真空管(ECC82)採用と言っても基本線は出力段のトランジスタの音と考えて問題ないでしょう。

音の立ち上がりは速い方で、若干収束は緩めなタイプとなります。

ドロっとした濃さ、暑苦しさは排除して、音の引き際の繊細感を求めたのでしょう。

 

二階建て構造にして上段は回路構成をシンプルに、下段ではトランスやコンデンサの容量を確保して、全体では省スペース化を達成するという狙いは賢いなと感じます。

底面のフットの外側をガラスが覆ったことで、音にはどう影響するのかというのは興味深いですが、滑りやすいのでこのまま接地させておくことにします。

 

低音は、立ち上がりの反応は良好ですが引き締まった方向性とは少し違います。この点はオーディオデザイン DCHP-100の方が優れています。量感も同社の方が多いです。

Athena A1の特色としては「音楽としての一体感」というところに尽きるでしょう。どの帯域も主張し過ぎることなく、あるべき範囲に収まる。オーディオデザイン DCHP-100では、あえて高域は分離<情報量のバランスに振ったことでヘッドホンリスニングとしての利点を追及し、低域は少し前に押してグルーブ感を出すという音作りを目指したと解釈しています。

Athena A1では「奥ゆかしさ」「深みのある音」と言ったキーワードが浮かびます。音の収束では繊細な響きを持たせながら、上述の通り音の立ち上がりの速さは確保している点は好感を持てます。

 

ゲイン切り替えモードは装備しておらず、一般的なDACやCDプレーヤーの2V出力にてfinal D8000では12時の位置で十分な音量が稼げます。低能率な平面駆動型でもおそらく3時程度のボリューム位置で適正音量かと思いますが、AUDEZE LCD-4等は所有しておりませんので詳しいことは把握しかねます。個人的には、低能率平面駆動型ヘッドホンについてはよりハイゲインなHPAを用意するべきかと思います。

 

Athena A1で最も評価しているのがボリュームの手触りの質感です。これについては別記事を後日また立てますが、例によっていつになるかは不明です。