今後のヘッドホンオーディオの方針について

final D8000→D8000 Proへ入れ替え

メインのヘッドホンをfinal D8000からD8000 Proに入れ替えました。

D8000 Pro自体のレビューは次回以降の記事になります。今回は「なぜこのタイミングで入れ替えたのか」、またタイトルの通り「今後のヘッドホンオーディオの方針」について書いていきます。

 

YAMAHA YH-5000SEの発売前後における界隈の反応を、改めて振り返る

発売前予約注文から実際に届くまでに数カ月以上の開きがあり、その間に何度か催された試聴会では、フジヤの店頭で聴く場合はwebでの事前予約制が瞬時に埋まり、ヘッドホン祭やポタフェスでは開場と同時にYAMAHAのブースに直進して予約を取り付けないと瞬殺されるという有様で、注目度の高さに啞然としたものです。

私が実際に試聴できたタイミングというのは、12月下旬になっていて割と遅い方でした。早い段階で試聴予約を取り付けることが出来た方々の感想というのは、もう正確には覚えてませんが割と好意的に捉えられている文面が多かった印象なんですよね。なので実際に自分で聴いてみて抱いた「あの違和感」は・・・

50万円のハイエンドヘッドホンが、こんな音であるはずがない。やれ、電源が悪いのだ、試しにポータブルアンプのBrise TSURANAGIで聴いてみたらまだ聴ける音が出てるじゃないかとか、必死に良いところを何とか探そうとしていましたね。それでもやっぱり「電源云々」ではない根本的な問題は露呈されていたのに、そこは見ないように感じないように自分を騙していたのです。後出しで今更なことを書くのは格好が悪いことは重々承知の上。

それは店頭やイベント会場での10分15分程度の試聴で安易にネガティブな評価を書き連ねることに抵抗があったこと、また私の元々の性格を知る方からそのような振る舞いは避けた方が良いと事前に忠告をされていたことも多分に影響があります。

 

近い将来、X8000の登場が予見されるこのタイミングで何故、無印→Proに入れ替えるのか?

おそらく今冬、final X8000においても(製品自体のクオリティに関わらず)同じ流れは繰り返されることでしょう。やはり国産ハイエンドは大きな期待と注目度を集めることは間違いないし、試聴の機会を得られた方からは多様な感想が投稿されることは、SNSがこれだけ浸透した社会では当たり前の光景となっています。

ところが私は段々「最新型を常に追いかけて試聴し、注目していく」ことに些かの疲れを感じるようになってきました。期待は時として認知にバイアスを掛けます。高揚感の中での試聴は、自然とそのサウンドの良い面を探そうとして欠点からは目を逸らすのです。さらに、感想を表現するにも多方面に気を遣うことになります。私は若い頃それこそ20代の時分なぞ「良いモノは良い、悪いモノは悪い」でバッサリ書いてしまうような人間でした。それが直近1~2年くらいでようやく少しは周りに配慮できるように・・・なってきたのだろうか?(

個人的にはD8000シリーズ程度の基礎性能があれば、もはや十分であると考えています。X8000の登場以降もDシリーズを製造し続けるのかは分かりませんが、現時点で6年間維持し続けていることは、常に一定以上の評価を得られている界隈で認知された名機と言って何の問題もないはずです。

ハイエンドヘッドホンなんて人口の非常に少ない狭い世界だけれど、皆が皆最新機種の情報を追いかけなくても良いのではないか。私は「世間」の喧騒から一歩引いて、自分のペースでゆっくり歩みを進めていく方がやはり性に合っている。

このタイミングでD8000無印からProに切り替えたのも、半年後にX8000が登場したとして「まだDシリーズのProの履修が終わってないし・・・」と、前のめりになりそうな自分へのブレーキとなってくれる、そんな役目を持たせています。完全に情報を遮断するわけではないし、表立って感想は書かなくてもこっそり試聴しに行くことはあるかもしれない。それでも、去年のような「最新機種に心が振り回される」ことはなくなるのです。

 

今後のヘッドホンオーディオの方針について

D8000と共に過ごした5年間で、これと組み合わせるシステム全体で「自分の好きな音」を把握し、そこに寄せていくことはほぼ95%達成出来た感触があります。残る要素はネットワークの上流で光アイソレーションを試すぐらい?

自分の音を構築する上で核となっているのはCHORD QUTESTと、PASS HPA-1。このDACとHPAを固定し、現在はD8000をProに入れ替えた状態ですが、このProは中古個体なのです。おそらくProは長くて3年使う程度で、X8000の試聴結果次第ではfinalを離れて別のメーカーに移行します。

これは「自分の好きな音」を把握した次の段階として、世の中の様々なヘッドホンが目指した音について「理解する」ステップに入るということです。店頭やイベント会場での試聴で判断できる要素もあるけれど、オーディオ機器は実際に購入して自分の環境で数年単位で鳴らし込まないと分からない部分も多々あります。

 

私はそれを長い年月をかけてでも、自分のペースで着実に進んでいきたい。