カメラ趣味がサブ→メインへ昇格?

これまで趣味の中心軸を長年に渡ってオーディオに据えていましたが、この分野への資金投入は一段落ついたことで、かつてのようにオーディオ専門店へ試聴に出向くことや、通販サイト・オークションの巡回も頻度が減っております。むしろ私はこのような状態に安定してからこそ、本来の意味で「純粋に音楽を聴いて楽しむ」第二のスタート地点に立てたような気がするのです。あえて言えば日々の音源収集が細々した出費として計上できる程度のこと。

一方で、元々はブログに投稿する際に機器の写真を添えるなら多少は綺麗に映っていた方が良かろうとの考えで、5年ほど前にLUMIXマイクロフォーサーズ機GF9を購入したことをきっかけにして、徐々にカメラ・写真撮影にも興味を持ち始めるようになります。何度か外に持ち出して花や紅葉を撮影することもありましたが、この時点では基本的にカメラは室内に放置されていたのです。

その後、GF9より更に小型で、なおかつセンサーサイズがAPS-Cであることに惹かれてRICOH GRIIIXを購入するも、これは半年も維持出来ずにNikon Z5の下取りとして放出する結果に。正直に言って実際の写真の出来栄えで言えば、GF9にF1.4の単焦点レンズを付けていた頃の方が全然良かったように思います。

GRはセンサーサイズこそAPS-Cですが、レンズ自体が暗くて交換不可能なのが盲点でした。私は撮像素子がマイクロフォーサーズより大きなサイズのAPS-C規格なのだから、明るく映るのだろうという安易な思い込みがあったわけです。実際の写真では、どうにも色乗りが悪く味気ない結果になる例が多々ありました。プロモーションでやたらとモノクロ写真の良さを前面に押し出しており、これは上手い言い替えもとい視点逸らしだなと感心したものです(

こうした紆余曲折の末、Nikon Z5と50mm単焦点レンズをセット購入した時は、「本当にコレ(ボディとレンズ合計で1.2kg)を外に持ち出して撮影する気になるんだろうか。すぐに使わなくなってしまうのでは・・・」という不安がよぎったものです。

今になって振り返るとこうした懸念は杞憂であったし、そんな心配をする必要はなかったと断言できます。それほどに写真を撮る行為そのものが楽しい。最近はオーディオショップで試聴する機会も減っていて、Cayin N8 DAPを携行することもなくなってしまいました。こうした点からも、かつてブログ投稿の補助役として位置付けていたカメラ趣味が、いつの間にか現在では私の興味の中心点に入れ替わっていたのです。

作例を張り付ける記事は春先にいくつか投稿していますが、この半年間でカメラ趣味や写真撮影についてまだまだ未熟ながら分かってきたことが細々ありますので、そうした内容を投稿していく計画を立てています。作例も要所で挟みますが、かつての記事のようにその紹介をすること自体が目的ではないです。

音楽とオーディオとの向き合い方

前回記事の最後で、

「しばらくオーディオの仔細な追求を中止する。それは2~3年続くかもしれない。」という趣旨で今後の展望を書きました。

先日のZEN Streamの不調を結局自力で復旧出来ず、音質を追求する以前に音を出せなくては仕方がないし、余計にストレスを蓄積するよりは割り切って昔のスタイル(PCのUSBポートからDAC直結)に戻す決断をしました。

yuki3.hatenablog.jp

ネットワークオーディオからスタンドアローンへ回帰

特に最近のトレンドではDAC以前のネットワークトランスポートに注力する傾向が見られます。私も「最後の詰め」として結局やり残した箇所として、光アイソレーションがあります。光の場合ケーブルは長い方が良いとか、従来の感覚からはセオリーとして外れる要素があって面白いなと思いながら遠巻きに眺めていたり。

もはやネットワークを通さない「PCオーディオ」はroonの登場により廃れてしまった印象があります。確かに機能面で言えば他のソフトを引き離して断トツに便利であることは確かです。しかし我々オーディオマニアがroonで音質を追求しようとすると、途端にシステムが複雑化してしまいがち・・・。

ルーターやハブ、そして光メディアコンバーター、これらの機器がACアダプタの場合は電源をトランスに置き換える方もいるでしょう。筐体の数はいつの間にか増えてスペースを圧迫し、それらを繋ぐケーブルが縦横無尽に交差しラック裏の景観が混沌としていきます。

そしてさらに、ここが私も躓いてしまったポイントなのですが、何かトラブルが発生すると相応のPCとネットワーク環境の知識が必要になります。もちろん通信が出来ていなければ音楽を聴くことが出来ないし、設定の変更に悪戦苦闘することは余計にストレスを蓄積することになります。

というわけで、現在はPCのUSBポートから直接DACに繋ぐ、昔ながら(?)のPCオーディオに戻したのです。これは普段使いのインターネットに接続されたPCではあるので、構想としてはもう一台「オーディオ専用PC」を用意して、ネットから遮断しても良いかなと思ってます。

自分の音の核となる部分を基に「妥協点」を設定する

厳密に言えばroon bridgeを経由した方が音は良いのですが、それが使えなくともTuneBrowserのWASAPI出力ならば私の求めている音の方向性に近いので、特に問題なく毎日聴けています。解像度や分離といったオーディオ的諸性能で言えばbridge経由のroonですが、音色の観点から言えばTuneBrowserのWASAPIが好ましい。ASIOだと音が硬くてダメ、roonはcore PCから直接USBで出してしまうと出力方式に関わらず一段落ちる印象。

このように次善策として妥協出来るラインを設定する際に、どの項目を重視するか決めるには「自分の音の核」となる部分を認識しておく必要があります。もちろんこの判断基準は人それぞれ違うので、私はASIOの音が硬いと感じるけれど、「輪郭がキッチリ出ていて良い」と判断して採用する人もいるはずです。そこは個人の好みが反映される趣味の世界なので。

完璧主義でより高みを目指す方や、自分の音が複雑なバランスの上に確立されている人ほど、些細な変更点が致命的な結果として現れるものです。roonのbuildを「前の音の方が良かった」と判断して頻繁に戻す方もおられるくらいですから・・・。そのような方は妥協点との折り合いの付け方も難しいだろうなと思います。

音楽とオーディオとの向き合い方

今年はどちらかと言えば「音質追求」の上半期でした。ライブラリを眺めていると2023年に買った音源は意外と少ない。そして音質追求モードに入っている時は、比較をやりやすくするために「同じお気に入りの音源を繰り返し聴く」という習性が私にはあります。

クラシックのCDなり配信音源を集中的に買い込んでいた時期は、ちょうど新型コロナが広まり始め人々が集団での会合を自粛していた頃と重なります。この3年間で多様な音楽に触れて、再び活動的になった今年の上半期で音質追求モードに突入した際に、これまでとは異なる視点を取り入れることが出来ました。自画自賛になりますが音の「認知力」もいつの間にか結構上がっていたような気がします。kanataさん、そしてpontaさんとのオフ会も貴重な経験でした。直接お会いして交流し実際に聴かせて頂くことは、自分にない視点をフィードバックする最良の方法だと思います。

 

しかしどうやら、私はまた地下に潜る時期が来たようです。短期間でアウトプットを出し切ってしまい、やや精神的に疲れが出ています。結構お金も使ってしまったし・・・

元々若い頃はメンタルの上下が激しい気質で、過去の経験からこういう時に余計な動きをしてはいけないことを学んでいます。予期せぬ致命的な一撃は、予後の回復を遅らせる・・・

不穏な兆候が出てきたら、ゆっくりインプットを蓄積すること。気ままにCDや配信を買い集めることに専念し、オーディオは弄らず配置も動かさず、ただ毎日聴くだけ。

そうしてエネルギーが十分に回復することを待ちます。それこそ、年単位で。

 

夏の間は📷を持ち運ぶのが億劫でしたが、そろそろ再開しましょう・・・

【注意喚起】roonユーザーの方はZEN StreamのFWUPを保留しましょう

先月、ZEN Streamで久々のFWUPがありました。しかしこれを更新してしまうとroon再生時に900秒単位でのドロップ(一瞬の音途切れ)が発生するようです。

Neo Streamでは初期から抱えていた問題ですが、最新のFWUPによりZEN Streamにも引き継がれてしまった模様。

情報を探らず安易に適用してしまい、症状に気付いてから価格.comにて報告を見つけました。

bbs.kakaku.com

1つ前のバージョンに戻す方法がないので、初期化したら何故か初回のネットワーク設定が完了しなくなりました。何度再起動してifi.localにアクセスしても、その瞬間は入れるのですが1分もしないうちに遮断されます。当然roonのオーディオデバイスにも認識されません。

現在はZEN Streamの運用を諦めてPCのUSB直でDACに接続し、TuneBrowserから聴いてます。roonを購入する前はよく使っていたソフトです。シェアウェアの中ではroonやAudirvanaよりも価格が安く2800円+税で購入できます。

tunebrowser.tikisoft.net

自分ルールのタグ管理がきちんと出来る方であれば、クラシックでは非常に視覚的に整理された楽曲表示が可能です。「:」を活用してグルーピングすることで、無駄な重複表示を避けることが出来ます。CDリッピング時の取得してきたCDDBを元に、厳密に統一出来なくとも自分で整理し直す程度の手間は必要になります。roonの表示にお任せだった方は少々移行が辛いかもしれません。(あまりいないと思いますが)

私もこの2年間くらいのライブラリ整理が大変でした・・・

テーマの配色・フォント等の設定も自由度が高く、好みにアレンジしてみるのも良いでしょう。

音質については、roon Bridge経由でDACに出力する音から比較すれば少し差を感じますが、今時の水準で見ても決して悪くはないです。ASIOは一般的な傾向として他のソフトでも硬い音で、あまり好みではないのでWASAPIで聴いています。

 

roonはBridge側からDACに接続すれば音は良いですが、コア側のPCから直接USBで繋いでしまうと結構差が出ます。新たにBridgeとなるものを探すか、もしくは将来的にDACを更新する際にRoon Ready対応機でハブから直接LANで繋いでしまうか、ゆっくり検討することにします。

しかしながら、しばらくはPC1台でUSB直結のシンプルな構成で動かさずに安定させようと思っています。ZEN Stream以外にも他の機材で軽微なトラブルがあって、あまり動かしたくないのです。問題が発生しなければ2~3年このままでもいいかなとすら思ってます。今あまり元気が出なくて、こういう時に弄って何かあると多分沈むことになるから・・・。

 

次回は「音楽とオーディオとの向き合い方」みたいな記事になると思います。

final D8000 Pro Edition【Review】

yuki3.hatenablog.jp

この記事でD8000→Proへの入れ替えを報告して音質レビューは先送りしましたが、ようやく取り掛かります。

そもそも何故Proに入れ替えたのか?

これは私の音の好みが少しずつ変化してきたことが背景にあります。ただしD8000を購入した翌年にProが登場した2019年の時点では、それほど興味を示していなかったことも事実です。Proがレンジの狭いPOPS向けのチューニングと宣伝されていたこともあり、クラシックに傾倒し始めていた私はD8000の方が適しているだろうという思い込みがありました。

音質の傾向からしても、迫力ある低域を軸にしたピラミッドバランスに魅力を感じていたD8000から、-6db下げてフラットにしてしまってはその長所が隠れてしまうのでは・・・というイメージを持っていました。

音の嗜好の変化について

D8000導入直後~2021年頃までは、クラシック音楽のレパートリーを広げていった時期とも重なっていて、この充実した低域とレンジの広い録音向けのチューニングが自分の求める音と上手く一致しているように感じていました。やはり編成の大きな楽曲に関しては今でもD8000が一番だと思います。ただし私は交響曲をあまり好まず、編成が大きめな曲といえば協奏曲を中心に聴いていました。

今でもコンチェルトは良く聴きますが、次第に室内楽へ主軸を移していくようになると今度は低域の盛り上がりによる副作用が気になるようになってきました。低域の押し引き自体は素早く尾を引かないけれど、音場全体が薄く靄がかかる傾向がありました。遠目のピントに合わせた時のスケール感の演出には優れていますが、焦点を手前に合わせた時の解像感が僅かに足らないのです。

また、この充実した低域が「全体と上手く溶け合わない」場面があります。生楽器だけでなくVocalが重なってくる場合には顕著な現象で、また声の質感そのものにも僅かに硬質な張りが感じられます。

このような「気になるポイント」が徐々に蓄積された段階で、「今の私にはProの方がフィットするのではないか」と考えるようになり、約5年振りのヘッドホン更新を決断しました。

final D8000 Pro Edition【Review】

*シルバーコートケーブルではなくオーディオみじんこ「NOCTURNE」と接続した音のレビューとなっていますが、基本的な傾向としては外していないはずです

低域の迫力は削がれて量感は並~やや少なめレベルまで抑えられます。とはいえ基礎的な技術はAFDSをそのまま引き継いでいるので、ローエンドは足切りされずにしっかり再現されてます。空間の広がりも一回りコンパクトに。その代わり、D8000で感じた上記のネガが解消されて、より「優等生」なバランスになりました。

決してD8000とProでクオリティの上下関係があるプロダクトではない(価格差は付属するシルバーコートケーブル)のですが、個人的にはProの方が丁寧な描写で質感が肌理細かな印象を受けます。Vocalの微妙な張り・硬さが取れて、よりしっとりした質感に。

音像の距離感はD8000とProで同じ位置をキープしていますが、やはり個々の奏者のディテールを拾い上げる能力はProの方が高いです。この音のバリエーションの違いを、ほぼAFDSのチューニングによって実現したことは今でも凄いなと思っています。

装着感について、世間的にはイヤパッドのグリップが増したことで側圧が強く感じられるProの方が不快であるという声が目立ちますが、私の場合は逆でした。D8000はスベスベした表面処理に加えて、パッドのスポンジが中で動きやすい構造になっており装着位置が微妙に定まらないのです。ピタッと吸い付くProの方がむしろ軽く感じます。

私がD8000シリーズを長く愛用する理由

このProは中古個体ではありますが、少なく見積もっても3年は使い続ける気でいます。ということはDシリーズについて通算7~8年は通すわけです。D8000、そしてPro Editionでは帯域バランスとそれに付随する細かな違いこそありますが「音触」はほぼ同じと言って問題ないでしょう。「そんなに同じ音を聴き続けて飽きないのか」と思われるかもしれません。

私の回答としては「飽きないことより、違和感を覚えないことの方が大事』なのです。

「違和感が無い」ことの重要な要素は大きく分けて2つ。

①質感と色温度

これは過去のエントリーや私のtwitterで散々語ってきた内容なので省略します。

②全体のスケール感と、細部のフォーカス感のバランス

今日の中心的な議題はこれです。D8000は全体のスケール感に意識が向くチューニングであり、Proはより細部を聴き取ろうとするリスニングスタイルに変化しますが、その細部の各音のフォーカスがキリリと引き絞られてはおらず、あくまで鳴り方そのものは穏やかな基調をキープしています。それでいて非常に細部を隅々まで見通せる解像度の高さを両立している。このバランス感覚が秀逸であると私は思っています。

Focal UTOPIAの初代はあまりにも細部のフォーカスが目立ちすぎ、ブライトな背景照射も加わりとても落ち着いて音楽を聴くような気になれませんでした。

*D8000導入前にフォロワーさんからお借りして2週間自宅試聴した結果。前身ブログに記録するも消失

その後、UTOPIA SGの登場によってこのバランスは大分改善されました。個人的な好みから言えばまだ質感は硬めで距離感が近い印象はありますが、基礎的な性能及び環境への追従能力は現状finalを抜いてFOCALがトップだと思います。2~3年内に他社製品で注目すべき製品が現れなければ、やはり次はUTOPIA SGを経験しておこうという今後のプランを立てています。

その他のメーカーでは、ハイエンド価格帯であっても厳しい目で見るとそもそもの全体のスケール感に乏しいか、または細部のフォーカスに注意を向けるほどの十分な解像度が得られていない例が多かったです。FOCAL以外のメーカーについては、数年内に1ランク以上のレベルアップを期待したいところ。各社とも何か1点に特化しつつも他の要素がカバーできていない印象があります。

∴ DCA Expanse

歪みを極力排除した音。静的特性は優秀なのだろうが音楽的に楽しくない。質感の描き分けが苦手。Mezeも同じ傾向があるが、「柔らかい音しか出せない」タイプ。

レンジは狭めで、細かい描写はそれなりの能力はある(が、それと分かりにくい)。

∴ MEZE Elite

DCAより音色が華やかで明るく、個人的には好きなタイプ。低域の軽さが弱点。

その他の基礎性能も他社ハイエンドラインから1ランク落ちる。

∴ HiFiMAN SUSVARA

非常に能率が低く(84db)アンプを選ぶのがネックとなる。

平面駆動型にありがちな「中央の圧が弱い」音ではない。D8000もそういう点が気に入っているし、加えてSUSVARAには独特な音色の魅力がある。レンジの広さ、基礎性能も良い線を行っている。興味はあるが、「自宅環境で満足に鳴らせるか」が懸念で手が伸びない。

YAMAHA YH-5000SE

強烈な高音に耳が耐えられるかに尽きる。低音もシャープかと思いきや、こちらは案外に緩い。

湿度感の概念がないガリガリに乾いた音で、ひたすら細部に意識が向くが果たしてこれは本当の意味で「解像感」と呼べるのか疑問。音楽の「生気」が失われている。

D8000 Proを聴くと、そのバランス感覚の良さに安心する

実例を挙げた他社機種は、Focal UTOPIA SGを除いて何かしらの「アンバランスさ」が隠せないのです。

  • 柔らかい音しか出せず硬い音の表現が出来ない(YAMAHAはその逆)
  • 全体のスケール感もしくは微細領域の解像感が不足する
  • 帯域バランスに問題がある(低域の下支えが弱い , 高域過多)

HiFiMAN SUSVARAは、全体的に結構良い線を行っているのですが能率が極端に低く環境を選びます。

D8000 Pro Editionを総合的に勘案すると、

  • D8000より中高域の分離、解像度が向上し、表現も丁寧でしっとりした質感に
  • 低域の盛り上がりは均されたが、最低域の下支えが確保されていて全体の充分なスケール感がある
  • (UTOPIA SGには及ばないが)意識すれば細部のフォーカス感も不満がないし、殊更にそれを強調しないバランスの良さを持っている

というまとめで締めたいと思います。同じfinalなら「X8000」の登場が今後気になるでしょうが、D8000シリーズもまだまだ全然良いですよ、というレビューでした。

OCTAVE V16 Single Ended 試聴記

試聴場所は「オーディオみじんこ」です。QBT処理を依頼してテーブルにケーブルを広げた際に関係のない私物を誤って一緒に置いてしまい、気付かずに帰宅してしばらく経った後に忘れ物のメールを頂きました。後日それを回収に行ったところ、目の前に鎮座するOCTAVEに度肝を抜かれました・・・。これはNOCTURNEケーブルの試聴システムとして設えられたものであり、もちろんここでOCTAVEが購入出来るわけではありませんので。

しばらくEsotericのNWP内臓4pin XLRヘッドホンアンプでデモされていましたが、荒川店主のお話ではこれを手放してOCTAVEと入れ替え(オプション電源は無しで本体のみ)、単体DACはAyreを導入されたようです。

今日は写真無しです。暑くてNikonの📷はお家でお留守番してます・・・

www.phileweb.com

 

OCTAVEはミッドレンジが濃くて熱い躍動感のある音で、(私の好みの方向性とは一致してませんが)一聴してインパクトが強く「これは良い音だ!」と感じる人は多いと思います。これに比べると同日にeイヤで聴いたGOLDMUNDは相当に薄い・・・。OCTAVE真空管アンプなのに緩くてトロッとした要素は微塵もないので、そのギャップには戸惑うかも?

ゲイン設定を確認していませんが、UTOPIA SGで9時まで回せない程に高出力でした。これなら駆動力の面ではSUSVARAでもまず問題ないでしょう。

ドライバをグイグイ動かして音像が太く強くビシッと屹立する男性的なサウンドで、高域がやや荒くUTOPIA SGでは音源によってはガラガラした印象を受けます。大まかな傾向では、この充実感を優先して高域の荒れが許容できるかで決まると思います。NOCTURNEケーブルは少し色を乗せて潤いを足し、高域の刺激の強いポイントを緩やかに落とす傾向があるので、UTOPIAの標準ケーブルではもっと乾いてキツさが強くなるのでは?(比較はしてませんが)

 

OCTAVEの試聴記として書きましたが、オーディオみじんこさんの本来の目的はNOCTURNEケーブルの認知と販促ですから、試聴して気に入った方はオーダー検討してみてねー(ユーザーによる宣伝)

mijinko.jp

GOLDMUND Telos Headphone Amp 2 試聴記

新発売で今が旬の製品ではなく、2015~2020年あたりに登場して話題になったモデルを振り返ってみようというシリーズの記事が何回か続きます。中古入荷された個体、もしくは店舗常設展示機での試聴です。

 


① 4月にCayin N8DAPのDACを通してANALOG INでSUSVARAを

② 8月はUSB INでムンド内のDACから複合機としてD8000Proを聴きました。

 

①の感想📝

能率の低いSUSVARAではvolume3~4時くらいで、現実的にこの組み合わせでは厳しい。前面・背面にゲイン調整がなく、「トップパネルを外してアクセスする」必要がある。そこまでは試せず。

高級アンプらしい音の濃さ、密度感であったり、ガッツリ駆動している制動感が弱い。かといって、クリアで晴れた音でもない。音場全体にクリーム色っぽい背景や質感が常に乗っかっている。これが「ムンドの音」なのであろう。

情報量の少なさはANALOG INで試聴したから、DAP由来?

 

②の感想📝

ムンド側のDACを通してみるが、情報量は正直DAPと大きな差はないとすら感じるレベル。元のプライスを考えると納得感は薄い。D8000Proならvolume12~1時で、同じシングルエンドのPASS HPA-1は11~12時。

帯域バランスはかなり腰高。濃く熱く、鳴りっぷりが良い傾向とは正反対で、全体的に薄く軽い。ProよりD8000無印の方が量感を補ってくれるのでバランスは整うけれど、どちらもこのシリーズのコンセプトである「深く速い低音」の真価を発揮できない。

 

GOLDMUNDの音

①・②を通した全体の印象として基礎性能、駆動力は平凡で、元の価格を考えると明らかに悪いと言えるレベル。これは「ムンドの音」に価値を見出して惚れ込んだ方が手を出すべきで、また私が短時間の試聴でその真髄の全てが汲み取れるわけもないのであって、本来は記事化するべきではなかったかもしれません。

(電源投入後1時間経ってから本領発揮するという方もおられます)

何を聴いても確固たる世界観が構築されていることは確かです。背景はクリーム色なのに、ひんやり冷たい質感。それでいて乾いておらず音に潤いを感じる。この様々に相反する要素がムンドの最大の特徴と思いました。

表面の毛羽立ちが刈り取られてツルツルした感じがないのは私の好みではあるけれど、基礎的な解像度の低さが惜しい。これならもっと細かいところまで見てしまいたくなるので。

どの瞬間を切り取っても同じトーンで鳴るし、そこに原音忠実性は無視されていると言ってもいいのに、不思議と「音楽としての訴求力」は備わっています。ある意味でハイエンドオーディオとしての「ポリシー」は貫かれている。

反対に、音源なりの「自在性」は捨て置かれています。PASSの場合、ここまで音色を強制的に染め上げる気配を感じない。薄化粧として補助的に引き立てるそのバランスが秀逸で、長く所有していても飽きが来ないと確信できたからこそ導入を決めた部分もあります。

 

次回も別の機器で「高級HPA試聴記」シリーズを予定していますが、基礎性能や駆動力はそちらの方が明らかに良かったです。ムンドはDAC込みの複合機で、他の比較対象は単体アンプが多いため同列に取り上げるのは些か乱暴である気もします。ただしTelos 2であれば、これ1台+ヘッドホンで完結し「メーカーが想定された音が確実に提供される」ことも確かです。

ポータブルオーディオの探求を終了しました

Meze ADVARはD8000 Proを購入する際の下取りとして放出しました。イヤホンは春頃にfinal A8000を手放して、手持ちの最後の1本となっていたADVARもこの手を離れたので手元には何もありません。これでイヤホンとポータブルオーディオの探求は終了となり、この先は再びヘッドホン1本に絞って元のスタイルに戻ります。

Cayin N8 DAPは手元に残してあります。これは2FのE3システムのDAC担当として必須です。それ以外にも店頭試聴やイベント会場で手持ちの音源で試聴できるメリットは大きいし、4.4mmバランスのハイゲインならヘッドホンもそれなりに駆動できます。流石に本領発揮までは出来なくとも、ある程度の能力や音の性格を把握するには十分です。

ちなみにADVARの音自体に大きな不満があったわけではないです。むしろ音だけで言えば私にとってはこれが一番良かった。しかし筐体構造的に中央のベント穴が遮音性を犠牲にして空間の広がりを得る構想なので、電車移動中の使用には適していないしついつい音量を上げてしまいがち・・・。次第に耳の負担を考慮して電車内での使用を控えるように。かといって自室ではfinalのヘッドホンがあるのでMezeのイヤホンを使う場面はそんなに多くはなかったのが現実です。