kanata亭訪問記(3)

訪問記の(1)・(2)は👇

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オフ会前半のスピーカーシステムの部が終了して、後半に当たる今回の記事はヘッドホンシステムの再生となります。

PASS HPA-1

MSBシステムを先に聴かせて頂きましたが、記事ではPASSの方から書き始めます。MSBのDACがXLR出力のみなので、MPD-8のRCAから私が持参したKimber Selectの1020と、D8000の6.3mmを用います。

MPDの支配力は感じられますが、それでもPASSの音色の素性の良さは感じられます。自宅のQUTESTと相性が良ければ、4pinバランスからシングルエンドに回帰する路線を検討するかもしれません。

MSBに続きPASSが好きなこともピタリと当てられている(;゚д゚)

MSB DAC→Bespoke Passive Pre→Premier HPA→D8000 (4pin XLR)

今回の記事の中心部となります。この音は本当に素晴らしかったです。価格が非常に高額なので、フジヤの店頭試聴で普段言及しないような高い要求レベルから見てしまうのですが、その時に感じた気になる点が全て解決されています。

innocent-key.com

問題があるとしたら内蔵ボリュームでしょうか。R2Rでよくあるチリチリ音に比べると上品ですが、高域の上の方に何かカサカサするような付帯音のようなものがずっと鳴っている印象があります。

これはDACアーキテクチャ的にデジタルボリュームが苦手なR2Rに起因する問題の可能性が高く、もしかしたらフルボリュームで外部プリを使うと緩和できる可能性があります。

オフ会の後日、yohineさんに「MSBとBespokeの組み合わせはとても良かったですよ」と情報提供してみました。それ以外にも今回のオフ会について第三者と振り返る場を持ちたかったので色々とお話していたのですが、それについては伏せておくとして。

MSBのデジタルボリューム回避についてのみ抜粋しますが、これはyohineさんも別件で既に体験されていたようで、Bespokeではないですがトランスアッテネータという方式は同じです。方法論としてもデジタルボリュームによるビット欠けが発生しない上に、不要な高調波をトランスがカットしてくれるので理想的とのことでした。

店頭試聴と、追求された個人宅において現れる音の差について

話の流れとしてはkanataさんのMSBシステムの続きになりますが、広く据置のオーディオに関係する内容なので見出しを区切りました。店頭試聴におけるMSBヘッドホンシステムでは、私は高域付帯音よりも音楽的に淡泊というか素っ気ない印象の方が気になりました。dCSの方が分かりやすい演出と力感があるので、ある意味「試聴映え」します。しかしそれは音楽の表現が特定の方向に偏ることを意味します。

MSBは機器固有の個性を強く持たずに、繋がっているシステム全体の良さを引き立てるタイプだと思いました。一般的には電源環境とトラポPCの追い込みが効いてくると予想します。kanataさんのシステムですと、さらにBespokeのプリが加わり相乗効果で物凄い高い到達点に行ってます。私は今回のオフ会での体験が無ければMSBには違った評価をしていたでしょう。ここまで質感の良さと音色の自在性が出てくるとは思ってなかったので。

フジヤさんもPSAudioのクリーン電源を導入したりして頑張ってくれてはいますが、やはり徹底的に追求されたユーザーの音にはトータルで届きません。そしてMSB自体は個性を主張せず黒子に回るタイプですから、システムの隠れたボトルネックを露呈してしまう結果となります。なので店頭試聴では、高い要求レベルから見るとその機器の全てまでは、やっぱり分からないのです。そしてそれはある程度経験を重ねた方は前提として承知しているものと思います。

RE・LEAFアンプの電流駆動とヘッドホンの相性問題

最後に、私が持ち寄ったE3 dCをkanataさんのシステムに組み込んでみます。DACはMSBで、volumeの重複を避ける為にBespokeのプリは経由していません。まずD8000で聴いてみると、普段家で聴いている音よりだいぶ底上げされています。E3もそれなりに環境追従性があるようです。

問題はUTOPIA SGで、kanataさんは「解像度が低い感じ」とのこと。私が聴いてみた感覚では、音像のピントが常に合わない、ぼんやりした太い輪郭で描かれています。これは確かに解像度が低いです。そしてD8000に切り替えてみると、kanataさん驚かれてました。「こんなに変わると思わなかった。これは確かに凄い」と。

E3自体は極端に低能率なヘッドホンに対応できるだけの出力の余裕がありません。力みのない自然な立ち上がりと繊細さを表現するアンプです。しかし電流駆動の特殊性から、接続するヘッドホンによって通常の電圧駆動とは周波数特性が全く変わってしまう性質を持ちます。能率の高いUTOPIAがこのような結果となってしまう例もあるので、RE・LEAFアンプの購入は手持ちのヘッドホンがどのような挙動をするのか、事前に確認が必要となるでしょう。

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オフ会の詳細はこれで全てになります。貴重な体験をありがとうございました。少し期間を置いてから、またお会い出来ればと思います。来週は、kanataさんとのオフ会にて私と会いたいと仰っていた方にコンタクトを取ってご訪問する流れになりました。

「kanata亭訪問記」とはタイトルを変えますが、次回記事ではオフ会の翌日に自分のシステムで聴いて思ったことを短めに添えます。自分の中では(4)というよりは(α)みたいな位置ですね。