yuki「聴かせて頂いておいて正直に言ってしまうのですが、私はHPAは4年間ずっとオーディオデザインのDCHP-100を使い続けていて、今後もしばらくは替えないだろうと。」
OJIさん「それくらい、ゆっくりでいいんですよ。」
*表現は適宜再構成しており、当時の会話のままではありません。また、解釈違いも大いにありえますので話半分でお願いします。
以下、yuki:y OJIさん:O
y「DACも、1年かけて散々悩んだ末にようやく決めたぐらいで。どうも私には現代DACの音は合わないみたいです。
それで、PCM1704マルチビットDACを。」
y「やはり、そう思われますか。。。」
O「そもそも32bitなんて実際問題、きちんと出せるものじゃないんです。
実質的に16bit割ってた時代のマルチビットDACはともかくとして、24bitのそれであれば、今の32bitデルタシグマよりずっとまとも。」
y「ES9018が出た頃、現代DACはすごいんだ、技術革新だ、なんて狭い世界でムーブメントになってたような気がしますけどね。」
O「技術革新なんか、してないですよ。私から見れば。」
y「このところ1年かそこらで生産完了してハイ次、なんてのが多くないですか。このオーディオ業界。
そんなことで本当に良いモノが作れるのか、甚だ疑問です。」
O「本来オーディオというのはもっとゆっくりした時間感覚で流れてるもの。
目先をコロコロ変えてユーザーが追い付いてくれてる分にはまだいいですよ。でも、それは長くは続かないと思います。」
y「OJIさんのHPAは、きちんとベースとなる部分があって、そこから日々改良を重ねられているわけです。
そうではなく、一から丸ごと異なるものが1年も掛からずに作られて、そして1年で生産完了となってしまう。
デジタルプレイヤー(DAC・CDP)の分野で特に顕著ですが、これで緻密に設計を練ることができるものでしょうか。」
O「今の『頭の良い』開発者は、何でも補正をかけてフラットに持っていこうと考えます。
例えばサーボを挙げると、DCサーボ以外にも様々なものがありますが・・・。
そうやって、『はみ出した分や、不足した部分』を戻したり埋めてあげればそれでいいと。」
y「それでも結局は、『辻褄合わせ』したその過程が、音の揺らぎとして出てくる。」
O「その通りです。私が作っている製品は、デバイスの選別と『推測』による設計で、後付けのサーボ的な調整が不要となるようにしています。」
y「それくらいの『慎重さ』が、この世界には必要な気がするんですよね。。。
製品サイクルが早すぎる現状において、こうした細やかさはどうも失われてきていると感じます。」
HPFESに赴くのは、OJIさんと、もう一社はマス工房さんとお話することが8割方の目的のようなもの。
音の良さは過去の試聴で十分に知っていますから。今、私にとって試聴それ自体は正直に言って形式的なものであって。
大企業の、イベントに駆り出された社員さんは、こういう話はできないでしょうね。。。
何かこう、話してても表面的なことしか口にされないと言いますか。。。
本当の意味でのコミュ力って、OJIさんのような方のお話を肌感覚で理解できて、そして知見を有する方の会話を引き出せることではないのですか。