HPFES2019春 OJI Specialブースにて

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yuki「聴かせて頂いておいて正直に言ってしまうのですが、私はHPAは4年間ずっとオーディオデザインのDCHP-100を使い続けていて、今後もしばらくは替えないだろうと。」

OJIさん「それくらい、ゆっくりでいいんですよ。」

 

*表現は適宜再構成しており、当時の会話のままではありません。また、解釈違いも大いにありえますので話半分でお願いします。

以下、yuki:y OJIさん:O

 

y「DACも、1年かけて散々悩んだ末にようやく決めたぐらいで。どうも私には現代DACの音は合わないみたいです。

それで、PCM1704マルチビットDACを。」

O「私も旭化成DACを聴いてみて、だいぶ癖があるなと。」

y「やはり、そう思われますか。。。」

O「そもそも32bitなんて実際問題、きちんと出せるものじゃないんです。

実質的に16bit割ってた時代のマルチビットDACはともかくとして、24bitのそれであれば、今の32bitデルタシグマよりずっとまとも。」

y「ES9018が出た頃、現代DACはすごいんだ、技術革新だ、なんて狭い世界でムーブメントになってたような気がしますけどね。」

O「技術革新なんか、してないですよ。私から見れば。」

y「このところ1年かそこらで生産完了してハイ次、なんてのが多くないですか。このオーディオ業界。

そんなことで本当に良いモノが作れるのか、甚だ疑問です。」

O「本来オーディオというのはもっとゆっくりした時間感覚で流れてるもの。

目先をコロコロ変えてユーザーが追い付いてくれてる分にはまだいいですよ。でも、それは長くは続かないと思います。」

y「OJIさんのHPAは、きちんとベースとなる部分があって、そこから日々改良を重ねられているわけです。

そうではなく、一から丸ごと異なるものが1年も掛からずに作られて、そして1年で生産完了となってしまう。

デジタルプレイヤー(DAC・CDP)の分野で特に顕著ですが、これで緻密に設計を練ることができるものでしょうか。」

O「今の『頭の良い』開発者は、何でも補正をかけてフラットに持っていこうと考えます。

例えばサーボを挙げると、DCサーボ以外にも様々なものがありますが・・・。

そうやって、『はみ出した分や、不足した部分』を戻したり埋めてあげればそれでいいと。」

y「それでも結局は、『辻褄合わせ』したその過程が、音の揺らぎとして出てくる。」

O「その通りです。私が作っている製品は、デバイスの選別と『推測』による設計で、後付けのサーボ的な調整が不要となるようにしています。」

y「それくらいの『慎重さ』が、この世界には必要な気がするんですよね。。。

製品サイクルが早すぎる現状において、こうした細やかさはどうも失われてきていると感じます。」

 

 

HPFESに赴くのは、OJIさんと、もう一社はマス工房さんとお話することが8割方の目的のようなもの。

音の良さは過去の試聴で十分に知っていますから。今、私にとって試聴それ自体は正直に言って形式的なものであって。

大企業の、イベントに駆り出された社員さんは、こういう話はできないでしょうね。。。

何かこう、話してても表面的なことしか口にされないと言いますか。。。

 

本当の意味でのコミュ力って、OJIさんのような方のお話を肌感覚で理解できて、そして知見を有する方の会話を引き出せることではないのですか。