当初の構想では3回目に「ULTRASONE Tribute7」の試聴記を予定していましたが、あまり印象が良くなかったです。それなりの高級機でネガティブな評価ばかり書くのも気が引けるので、これはお蔵入りさせました。
今日再びeイヤに行き「Meze LIRIC II」を試聴して、これはとても印象が良かったので軽く書きます。ポータブルオーディオを想定した試聴記なので、過去2回の記事と同様にCayin N8 DAP直結です。ケーブルはCopperの4.4mmのみで、3.5mmで試聴はしていません。
席に付いた時「II」は他のお客さんが試聴中だったので、写真は撮ってないですが初代から聴き始めました。こちらは常に風が吹いたような掠れた中高音で、低音もあまり出なくてちょっと厳しいかな・・・
イヤホンで言うなら「RAIPENTA」寄りの質感で、Mezeの中でもこの路線は苦手です。Mezeは各モデルごとに明確な個性を持っています。なので相当に人を選びますが、好きな人は心底惚れ込む趣味性の高いブランドと言えるでしょう。私はADVARが物凄く琴線に触れて実際に購入した過去があります。
さて「LIRIC II」ですが、こちらは初代と比べてかなり真っ当な進化を遂げたと思います。
Mezeは元々カッチリ定位するような鳴り方ではないので、音場のふわふわ感はそのままですが、初代よりは細かい領域まで見えるようになっています。
Mezeらしい音の繋がりの滑らかさは初代でも感じられましたが、それ以外の要素がIIで順当に進化しているという印象です。
Iでスカスカに感じた低音は、IIなら「これなら明確に不足とは感じない」レベルの量感が出ています。
IIの人肌の温もりが感じられる中高域(初代は妙にクール)、本来のMezeらしい(と私は考えている)色彩感。
開放型と比較すれば帯域バランスに癖はあります。それはFOCAL STELLIAもDCA E3も、そしてLIRIC IIもそれぞれ違った形で現れていて、そこに密閉型ヘッドホンの難しさを感じました。3機種の中で、癖の出るポイントが私にとって比較的気にならず無視出来るのはLIRIC IIでした。癖の方向性としては初代の風が吹いて掠れた感じを薄めたものです(初代では癖が強すぎるが、IIの範囲なら無視出来る)。STELLIAは声の辛口な質感が、E3は高域のシュワシュワ発散するような成分が気になります。
もちろんその「気になる領域」というのは個人で様々なはずなので、あくまで「私の感覚を一例として紹介している」程度に認識頂ければと思います。
そして嗜好性の面で言えば、以前から私をご存知な方なら想像が付くと思いますがMeze LIRIC IIを推します。好みを排した純粋なレビュー評価をするならDCA E3が間違いないと思います。
参考までに私の聴取音量は、ハイゲインで
FOCAL STELLIA:40~50
Meze LIRIC II:50~60
DCA E3:60~70
E3はこの中で性能的には数段抜けてますが、環境への要求度も高いと感じました。
金・土・日の連続更新で、試聴の記憶が薄れないうちにライブ感を重視したので、文章自体は拙く荒い仕上がりになりました。とりあえずこの連載はこれにて終わります。
次回はいよいよ、UTOPIA SG導入記です。いつ書けるか分かりませんが・・・