Audirvana Origin

手持ちのファイル再生に特化した「Audirvana本」の30日トライアルを4/18に開始し、先日その期間を終了しました。結論から言えば本購入はまだしていません。この後ROONを試します。そのための下準備でiFi ZEN STREAMを注文しました。BONN N8ハブからLAN入力→USB出力はCHORD QUTESTへ「ROON Bridge」として使います。

今日はAudirvanaの音質を長年使い続けたTuneBrowserと比較する形で記事を立てます。

Audirvanaは受け取った音源データを64bitに拡張して処理するようです。bit拡張したデータをRAMDecodeするのでバッファ量もかなり大きく、再生ボタンを押してから2~3秒待ちます。私の環境ではKernel Streamingはハングしました。特にブラウザのyoutube等から遷移するときに問題が発生しやすいです。なのでASIOが無難だと思います。

若干UIに関しては詰めが甘いと感じる点が。タイル表示のアルバムアートはサムネイルの圧縮率が高く、ちょうどいい大きさまで拡大すると粗が目立ちます。

 

かつてはPCAudioはmacでAudirvanaと言われた時代がありました。windows7時代の黎明期で「Windowsは音が悪い」としばしば言われたものです。私は普段macを使わないのですが、イベントや店頭でmac×audirvana plusの音を聴くと、確かにこれはwindowsからは出ない音の質感だったのをよく覚えています。僅かにアタックを丸めてあって耳当たりが良い、表現を変えれば作為的かもしれないけど巧妙な薄化粧が施してある音なのです。繋いでる先のUSB-DACその他がそれほど高級機でなくても、何となく「ハイエンド風味」な音に仕立て上げてくれる、そういう雰囲気がありました。

 

私は2010~2016年くらいまではfoobar2000をメインに使っていました。macの洗練された雰囲気の音と比較すると、どうしても「野暮ったい」と感じます。fb2k以外にも色々なソフトを試してはみましたが、この「田舎くさい」感じはどれも共通していて、もうこれはOSレベルの問題ではないかと思う時期もありました。

転機となったのはTuneBrowserの登場です。シェアウェアとしては1500円と安く(現在は2800円へ改定)これまでのwindowsにおけるプレイヤーとは一段階レベルの違う音が出ていて「windowsならこのソフトで良いだろう」と、ひとまず再生ソフトの変遷は私の中では落ち着きを見せます。実際5年くらい使い続けましたし。fb2kのような滲んだ印象がなく、透明感の高い音質です。定期的にアップデートがあり、bug fixの他にもchange logには公表されない細かな部分でのサウンドエンジンの改良が日々重ねられて、さらに少しずつ音質も良くなっていったことを覚えています。音質について作者さんから告知されないアップデートの回でも、フォーラムでは「音良くなってませんか?」って書き込みが稀にあって、分かる人には分かるんだなぁって感心してましたね。

 

そして2018年6月、これまでmac専用ソフトだったAudirvana Plusがwindowsにも進出します。ただしPCの要求スペックが高そうな印象で、当時の私のPCでは若干不安がありしばらく導入は見送っていた経緯があります。去年PCを新調して最新の第12世代i5CPUとメモリ32GBとなったのですが、今度はAudirvanaの販売方法がサブスク型に切り替わってしまい、この売り方に疑問を持った私は再び二の足を踏むことに。またしばらくTuneBrowserを使い続けていたところ、今年3月にAudirvanaはファイル再生に特化した買い切り方の日本限定「Origin」と月額方式の「Studio」に枝分かれしました。これならトライアルを試してみても良いだろうと言うことで・・・

 

やはりWIndowsでもAudirvanaの音を楽しめるようになったのはとても大きいと思います。TuneBrowserも音は良いのですが、「素のままに出して脚色をしない」方向はwindowsの他のソフトと同様なので。やはりwindows版でもAudirvanaの音というのは他と一味違っていて、この「ほんのり薄化粧」な雰囲気ってなかなか狙って出せるものではないんですよね。粒子感が細かく、r8brainアップサンプラーを通していなくても高性能なリサンプリングを掛けたような音になります。低域はややスリムでタイトに感じました。TuneBrowserの方が躍動感のある音です。

Studioの、TIDAL等ストリーミングサービスとの連携が不要な方は、手持ちのファイル再生に特化させたOriginが12880円というのは、これなら購入しても良いという層はそれなりにいるのではないかと思います。正直に言うと、Studioの場合はROONと比較して訴求力に欠ける印象です。