EIZO FlexScan EV2785

およそ8年ぶりにPCモニタを新調しました。LGの25インチ21:9ウルトラワイド「25UM65-P」から、EIZOの27インチ4K FlexScan EV2785へ。

旧モニタは20代前半の頃に購入したもので、当時はまだモニタの品質にさほど感心がなかったので、21:9ウルトラワイドが2万円台前半はコスパが良い、というぐらいにしか考えていませんでした。それでも設置してすぐに感じたのは「妙に画面が青い」のです。これは2段階あるブルーライトカットモードの弱設定の方がむしろ自然な白に近いと感じてしまうレベルで、これを常時ONにすることで運用していました。厳密に言えば若干黄色いのですが、ブルーライトカットを切ってしまうと3分と持たずに気持ち悪くなってしまうので・・・

他に不満だった点と言えば、縦の作業領域が1080で狭いこと、スタンドの高さ調整ができないのでチルトを限界まで傾けて上向きにしているが、やはり目線を下げて見ることになるので姿勢が悪くなる、このあたりですね。8年間、何とかやりすごしてきましたが流石にそろそろ限界でした。今年に入ってEra ITXケースのフルカスタマイズPCを導入したあたりで、モニタについても検討を始めることに。

選定期間の右往左往していた過程については大幅にカットします。要するにEIZOの品質が良いことは知りつつも、他メーカーならそれより4、5万円安く済ませられることをずっと天秤にかけていたわけです。しかし私は「ゲーミングモニタ」を求めているわけではないし、そもそもPC側がオンボードGPUなので4kの120Hzといった高リフレッシュレートに対応出来ていません。DisplayPort1.2で60Hzが出れば十分です。この間、ずっとEV2785のamazon在庫が切れていたのですが、3月に入って復活するとあっという間に売れて20台から数日で2台になっており、慌てて私も購入を決めた次第。ちなみに私が買った時点で89500円から直後に11万円に戻っていました。2017年の発売直後は13万円ということを考えると、おそらくこれ以上の最安値はないでしょう。

 

モニタの見え方は写真で撮影してもおそらく伝わりにくいので、今回の記事は写真無しです。現物が届いて設置してまず関心したのが、3段式の高さ調整機構の造りがとても良いこと。27インチの規格で8.2kgというのは重い部類に入るでしょうが、これもある意味では信頼性の証ということで。そして電源を入れて「これは4Kだから綺麗とかそういうことじゃないんだな」っていうのがすぐに分かります。解像度は、目の細かさは担保する、同様にHDRは暗部と明部のコントラストを強調し、10bitあれば10億色の階調表現となります。EV2785はHDR非対応、8bitなので色数は約1677万色の、4Kだけど「汎用モニタ」です。ただしそれと「パッと見た目ですぐに綺麗と分かる」ことが全ての直接的な要因と結びつくわけではないということでしょう。HDR非対応でも、8bitの色数しか表現できなくても、EIZOの画面は「整っています」。まず設定を何も弄らなくても、初期状態で白がきちんと白く出ています。LGの前モニタ含めて実はこれがまともに出来ていないものが市場には多く存在するようです。いくら10bitとか言って色の数が多くても基準の色がズレていたらまるでお話になりません。EIZOでは厳密な私の基準から言えば「ほんの僅かに青い」と感じたので、色温度の設定を6500K→6000Kに一段階下げています。ただしおそらく多くの人にとっては6500Kの方が自然な白だと感じるはずなので、この点はあまり深刻に受け取る必要はありません。私の感覚では6500Kと6000Kのちょうど中間ぐらいに、「ジャスト白」がありそうなのですが、好みは黄色の方に寄っているのでそのように設定しているだけです。

 

発色について。これも非常に「整っています」。それしか語彙がないのかと言われそうですが。画作りとして「こう表示したい」っていう明確なポリシーが先立っていて、そこに向けて制作されたものは、やはり全てが自然と調和するからそういう感想になるのですよ。FlexScanは事務作業用途としてテキストの視認性を重視しているが故に、派手でギラギラした色を抑えめに設計されてはいますが、それが「地味でつまらない」印象にならないバランスとなっているのは流石だと思います。写真編集の用途では出費を惜しまなければ上位のColorEdgeシリーズがより適しているでしょうが、FlexScanでも十分にこなせるはずです。

使いこなしの点では、スタンドの昇降調整幅が広いので、設置環境や身長に関わらずきちんと目線をモニター中央に向けられるのが良いです。以前のLGモニタでは昇降機能がないためにチルトを限界まで上向きにして画面を見下ろすような形になっていたため、姿勢が悪く首に負担を掛けていました。また「適切な角度で見る」って大事な点で、画面の見え方がだいぶ変わってきます。

細かいことを言えば2点ほど気になることが。設定画面を操作する5点タッチ式の操作感がいまいちです。ボタン式は耐久性の問題がどうしても出てくるので長期使用の面から言えば避けるべきでしょうが、メニューの「戻る・進む・決定・閉じる」の位置が初見では把握しづらい印象。もう一点はスリープ復帰時などのモニタ電源が入る瞬間「カチッ」と明らかに聴こえる音で鳴るのですが、もう少しソフトスタートな方が良いのでは・・・?

 

実際の運用では4K 27インチだと推奨の拡大率150%でも文字が小さく細かったので、源ノ角ゴシックというフリーフォントをインストールし、noMeiryoUIでシステムフォントは11ptに、ブラウザは同フォントの15ptにすることでかなり快適になりました。

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