1DDの進化

Meze ADVARを試聴

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Mezeの音楽性が最も表現されているイヤホンだと思いました。ヘッドホンではEmpyreanの音色に感動しましたが、イヤホンのADVARはその感触に非常に近いものを持っています。もちろん平面駆動型のヘッドホンとダイナミックドライバのイヤホンでは鳴り方に違いはありますが、ここでは音色や音楽性についてのみ言及しています。

直後にRAIPENTAを聴いてみる

1DDと4BAハイブリッド。ADVARが非常に好印象だったのでこちらはどうかなと期待してはみましたが、やはり私は基本的に1DDのイヤホン以外は違和感を覚えてしまうようです。子音が歪むのと、音が揃わず濁る感じがどうしても気になります。

10年間のトレンドの変遷と進化は、きちんと追えていないけれど

思い返せば2013~2014年くらいにポタオデ環境の構築を検討して、色々試聴していた時期がありました。結局当時もBA多ドラの違和感を払拭できず、買っても長く使えそうな見通しが立たないことから、完全に一度イヤホンを興味の対象から外してヘッドホン・据置環境へ全力投球することに決めたのでした。

20代前半の当時の方がこういう違和感に対しては今よりも敏感だったかもしれません。そしてあの頃はハイエンドの1DDがまだ市場に存在しておらず、あえて言えばIE800くらいだと思いますが、正直これのクオリティには満足できなかったので、自分にとっての選択肢は皆無という状況だったことを思い出します。

ここから5年くらいはイヤホンの新製品情報やDAPについて全く情報を追っていません。

つまりヘッドホン・据置側は2012年以降、10年間に渡ってずっとタイムリーにトレンドを追ってきているのですが、イヤホン・ポータブル界隈については初めの数年間を途切れ途切れに、そして2015~2020年にかけて情報が断絶しています。

その10年の間に流石にBA多ドラも進化して、ある程度違和感を抑えられた機種がちらほら最近出ていることは確認できました。

1DDの進化

BA多ドラの違和感の解消は徐々に進んではいるようですが、私がfinal A8000を選んだように、結局1DDの進化がなければ今もイヤホン側への興味は失われたままだったと思います。そして同価格帯ではAcoustune SHOの出来も非常に良い。音楽を自然に聴けて、なおかつ高い基礎性能を持つイヤホンは確実に増えてきました。

そして先述の2機種からは基礎性能は1ランク落ちますが、代わりに音楽性は独自の魅力を備えたADVARがあります。これならDAPをあまり神経質に選定しなくても、イヤホン側の音楽的な魅力だけで楽しく聴けるのではないでしょうか。こういう肩肘張らずに勘所を掴んでいるモデルは、ユーザーの多様な選択肢と成り得るので大事な存在だと思います。